庄内町深川地区に伝わる「飛龍伝説」その源流とも言われている、石の三十三観音像
隣村西方田圃の中に今でも霊験あらたかな鎮守の森があり、昔、その神社の池には竜が住んでいた。
竜は毎年田畑を荒らすので村人は泣く泣く若い娘を年毎に献上しなければならなかった。やがて村からは娘の姿が消え果て、残るは村の庄屋の娘唯一人となった。
覚悟を決めた庄屋の娘は、日頃信心している観音経一巻を手に、経文を唱えながら竜の住む沼に向かった。
竜はいつ襲おうかと構えていた。娘は読経を終え竜めがけて経巻を投げつけると額に当り、鱗は飛び散って金峰山に逃げ帰り、竜はその後、悔い改めて権現(神様)と変わって多くの人々を救ったという伝説がある。
村人と田畑を救った娘を讃え万延元年(1860年)酒田・本間様始め庄内一円の差配人が石の三十三観音を寄進された。明治の神仏分離により金沼神社から当寺に移設される。現在の庄内町観光芸能「飛龍太鼓」の源流となっている。